このページでは2022年1月時点での最新のカーボン入りランニングシューズをメーカー別にまとめていきます。
2021年のびわ湖毎日マラソンでは鈴木健吾選手が2時間4分56秒という驚愕の日本新記録タイムでゴールしました。鈴木選手はナイキのアルファフライを履いていました!また、2021年の名古屋ウィメンズマラソン優勝した松田瑞生選手もアルファフライを履いていました。日本のマラソン競技者のレベルは年々上がっていますが、その大きな要因の一つがカーボン入りの厚底ランニングシューズです。
カーボン入りランニングシューズの特徴
カーボンプレートはとても硬い素材で、ゆっくり走ったり歩いたりしてもほとんど屈曲しないのですが、キロ3分台・4分前半くらいの速いペースで走るとミッドソールの中のカーボンプレートが着地時に屈曲しそれが戻ろうとする力が推進力前への反発力となり、速く走ることができます。また、ナイキのアルファフライなどはカーボンプレートがスプーン状に前に傾斜した形で入っているので、着地後に体重と重心を前に移動・ガイドしてくれる作用があり、これがさらにペースアップに繋がります。
びわ湖毎日マラソンまでも多くのアスリート、市民ランナーがカーボン入りランニングシューズを履いていましたが、下記ではメーカーごとに最新のレース向けのカーボン入りランニングシューズをご紹介します。この記事はやや上級者向け、競技者、シリアス市民ランナー向けのランニングシューズを特集したいと思います。各シューズの詳細レビューはそれぞれのリンク先ページでまとめていますのでそちらも御覧ください。
下記では初心者向け、サブ4、マラソン完走向けのカーボン入りランニングシューズを紹介していますのでご自身のレベルに合わせてこちらもご参考にしてください。
ナイキ
アルファフライネクスト%
びわ湖毎日マラソンでもおそらく最も多くの招待選手が履いていたアスリート向けのカーボン入りランニングシューズです。数あるカーボン入りシューズの中でも最も反発力と推進力があるシューズです。一方、接地はかなりフォアフットでないとこの推進力をうまく扱えないという上級者、アスリート向けのシューズです。フルマラソンで履く脚力がなくても、ハーフや10キロなど比較的短い距離で履いている市民ランナーさんも多いです。
ヴェイパーフライネクスト%、ヴェイパーフライネクスト%2
多くのシリアス市民ランナーが履いているカーボン入りランニングシューズです。アルファフライとよく比較されますが、比較的幅広いランナー、サブ3.5くらいまでのランナーでも十分履けるシューズです。フラットソールになっており、接地面が大きくミッドフット、踵着地でもしっかりと反発感が得られるシューズです。このシューズの最新版である2が2021年春にヴェイパーフライネクスト%2として発売されました。詳しくは下記のレビュー記事も合わせて御覧ください。
adidas
アディオスプロ
adidasのカーボン入りランニングシューズで、とても反発力推進力の強いシューズです。特徴的なのは5本の指のように別れているカーボンプレート(エナジーロッド)が前方に傾斜した形で入っていることです。また、ライトストライクプロという反発感のある素材がかなり肉厚に入っており、反発力・推進力がとても強いシューズです。
さらに詳しいレビュー、スペックの詳細はこちら:
アディオスプロ2
アディオスプロの最新作2が2021年6月に発売されました。前作同様、高反発で軽量なライトストライクとライトストライクプロというミッドソール、そして5本のカーボンバーであるエナジーロッドが搭載されています。さらに前作やや不評だったアウトソールのラバーが改良され、コンチネンタルラバーというグリップ力と耐久性が高いアウトソールが採用されています。
さらに詳しいレビュー、スペックの詳細はこちら:
アディゼロプロ
ライトストライクとBoostフォームというクッション素材は柔らかすぎず安定感がやや高いので、脚力に自信がない方や女子のランナーに人気の高いカーボン入りシューズです。カーボンもフラット・水平な形で入っているので普通のランニングシューズと同様の履きやすさがあります。
asics
メタレーサー
アシックスのカーボン入りシューズで、非常にクセのない(悪く言えばこれといった強みや特徴がない)シューズです。推進力や反発力は特段強くはないですが、足を高回転で回して走るピッチ走法に向いているシューズです。自分の脚力でしっかりと蹴って走る感覚も持ちながら走れるシューズなので、デイリートレーナーとしても使えるシューズと言えます。
マジックスピード
アシックスの高反発で軽量なミッドソール素材であるFlyteFoamブラストと、ガイドソールテクノロジーが搭載されたカーボン入りランニングシューズです。カーボンプレートは前足部のみに使われていることと、比較的薄底シューズのように地面の接地感を感じやすいシューズなので自分の足で走っている感覚を得やすいシューズです。普段薄底のシューズを履いているランナーにとっては、厚底のカーボンプレート入シューズよりもマジックスピードの方がフィットするのではないでしょうか。
メタスピードスカイ、メタスピードエッジ
アシックスがナイキのヴェイパーフライの対抗馬として2021年に発売した本気のレーシング厚底カーボン入シューズです。高反発で強い推進力がありながら、安定性が高く幅広い市民ランナーに履きやすいシューズになっています。また、ストライド走法(一歩一歩の歩幅を大きく走る走法)に合わせたメタスピードスカイ、ピッチ走法(足の回転を上げて走る走法)に合わせた比較的薄底にメタスピードエッジと、走法に合わせて2種類出ているのもランナーにとっては嬉しいです。
ホカオネオネ
ロケットX
アスリートや学生であまり履いている人は多くないですが、一般市民ランナーの間では人気があるのがホカオネオネです。ホカオネオネのカーボン入りシューズであるカーボンX2よりも軽量で、よりスピード重視のシューズです。接地面積が大きく安定性があるシューズのためウルトラマラソンなどの長い距離を走る競技でも使えるカーボン入りシューズです。サブ3~3.5くらいの脚力があれば十分使いこなせるシューズです。
カーボンX2
最も幅広いレベル(競技者から初心者ランナーまで)に使いこなせるカーボン入りシューズといえるのがこのカーボンX2です。ホカオネオネの柔らかいクッション性に加えて、メタロッカーテクノロジーという前へのスムーズな重心移動をガイドしてくれるミッドソールの形状によってライド感を感じながら走れるシューズです。アウトソールの接地面積も大きいので走法や接地によらず使いやすいシューズです。
ニューバランス
フューエルセルTC
比較的安くて(それでも2万円弱)中級者・初心者でも使いやすいエントリー向けのカーボン入りランニングシューズです。普段トレーニング用として使えるカーボン入りシューズです。
フューエルセルRCエリート
踵部分に搭載されているフューエルセルという素材がとても柔らかく、もしかしたら踵着地の方にとっては柔らかすぎる・不安定に感じるかもしれません。ただし、ある程度の走力とミッドフット・フォアフットで走れるエリートランナーにとってはカーボンの反発とフューエルセルの反発力が活かせるシューズです。決して厚底ではないので薄めのソールが好きな方、接地時間を短く刻んで走れるランナーにおすすめです。また、アウトソールがチップになっておりグリップ力が強いのでどんな路面でも安心してスピードを出すことができます。
フューエルセルRCエリートv2
前作のフューエルセルRCエリートは比較的薄底のスタックでハーフ、短い距離のレーシング向けでしたが、2021年に発売された後継機であるv2は完全に厚底スタックに変更になり、フルマラソンで使いやすいエリートレーシングモデルに生まれ変わりました。フューエルセルというぷにぷにもちもちした高反発なミッドソールであるフューエルセルと安定性と推進力を生み出してくれるフルレングスのカーボンプレートが合わさって非常に強い前へのエネルギーを生み出してくれます。
PUMA
プーマディヴィエイトニトロ
トラック陸上競技のイメージが強いPUMAが2021年にリリースした初のカーボン入りシューズがディヴィエイトニトロです。ニトロフォームという軽量性と反発性に優れた素材とカーボンプレートに寄る強い推進力が売りのシューズです。サブ3.5くらいの脚力があれば十分使える、比較的エントリーモデルのカーボン入りシューズです。
プーマディヴィエイトニトロエリート
上で紹介したディヴィエイトニトロは「誰でも履けるみんなの厚底」という謳い文句どおり、比較的幅広いランナーにおすすめのシューズですが、こちらのディヴィエイトニトロエリートはエリートランナー向けのレーシングシューズです。安定性は劣りますがより軽量でスピードの出しやすいスペックになっています。
サッカニー
エンドルフィンプロ1,2
1989年にアメリカで設立された、最古のスポーツフットウェアブランドのサッカニー。日本ではあまり有名ではありませんが、アメリカでは非常に知名度と伝統のあるブランドで、1969年にあのアポロが人類初の月面着陸をした際に乗組員たちが履いていたシューズがサッカニー製であったということで、その信頼度が伺えます。
ナイキのアルファフライキラーと呼ばれるくらい、反発力と推進力の強いシューズで、かつナイキと比べて1万円程度安いシューズです。パワーランPBという反発力の強いミッドソールと前に傾斜して入っているカーボンプレートによって強い反発力が得られるシューズです。また、フラットソールになっており接地面積も大きいので比較的扱いやすいシューズです。
2021年にアッパー部分が少し改良されたエンドルフィンプロ2が発売されました。よりフィット感とホールド感が高くなっています。
ブルックス
ブルックスハイペリオンエリート2
日本ではあまり知名度のないブルックスですが、本国アメリカではNO.1シェアを持っている伝統のあるブランドです。新しいフォームであるDNAフラッシュという硬すぎず柔らかすぎないフォームとカーボンプレートによって抜群の推進力があります。ゆりかごのように前に重心をコロンと進めやすいようなミッドソールの形状になっているためライド感が得られます。アメリカの女子エリート選手の中で比較的人気のある、安定感と推進力のバランスの良いシューズです。
オン
クラウドブーム、クラウドブームエコー
スイスの新興ランニングシューズメーカーであるオンは、特にトライアスロン選手やウルトラマラソン選手に愛用されているシューズです。
クラウドテックという竹輪のような穴の空いた一つ一つ独立したミッドソールが比較的硬めのクッション性と反発力を生み出してくれます。また、スピードボードという全面に入っているプレートがしなって復元することで前への推進力を生み出してくれます。クラウドブームエコーは2021年に発売されたクラウドブームの後継機で、より爪先の反り上がりが強くなってガイド感が強くなり、さらにかかと部分のクラウドテックが2層構造になったことによってクッション性が増しています。
以上、いかがでしたでしょうか?是非お気に入りのランニングシューズを見つけて快適なランニングをお楽しみください!では、Have a nice run!!